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2010年10月6日

文字の研究‥其の三

NEUT.002で制作をしたその後に描いてた、個人的なつくり文字のことです。

書体にはよくファミリーで見本として掲載されているものがあります。(文字の骨格を基にグラデーションのように太らせていくような見本)ファミリー構成している見本なのですが、なにか絵としてひっかかりがありました。(図例:ユニバースの見本ですが見ていると『U』の図形の中へ『u』が入っていくように見えました)



多くの書体には骨格があり、その骨格をベースにファミリーとされています。書体の中にはそれぞれ鉛筆の芯のように骨格が埋まっていると考えると、なんだかいいなあと思いました。ある形のなかにもう一つの形がある、そんな興味から文字の構成エレメントをスケッチしてみることに。基本的なパーツとしては円弧や直線。その中に骨格となる芯が埋まっているようなイメージで文字作りのスタディーを始めていきます。(図例:『S』型のバナナのような図形をめくると細い『s』型のような図形が埋まっているイメージ)


文字の中から芯のようなものが見え隠れするように構成されたエレメント。それをベースに文字を起こしていきました。『文字の内側』が漠然とした起点です。恐竜が化石となって地層からでてくるように、エレメントパーツ自体に骨格の芯が見えるような文字。そして文字がグラフィックデザインとしてもみられる描き文字。そんなことを考えながら制作していきました。



この文字を作っていた頃、ASYL主催の佐藤さんが企画されていた馬喰町にてTDB-CE(現CET)という、街をデザインするという企画をしていた頃でした。(馬喰町の問屋街にある複数の空きビルのスペースをギャラリーとして再利用し、街を活性化するという試みのイベントです)その流れで空きビルの空間を使い、制作していた描き文字グラフィックを発表してみようということに。

空きビル。それを今度はグラフィックと空間での展示。それにコンセプトは内側に芯(骨格)のある描き文字です。
まず、空間のイメージですが『文字の内側』を発起点として形作っていったものでしたので海底や地層といったようなイメージにしました。蛍光灯を地面に設置し、『内側に入ったような空間』を演出しています。そして天井と床の色を分け地層の間のような展示空間にしました。


展示する文字のヴィジュアルは文字の中の骨格からスタートしたということでポスターに白い中心線の入ったものに。それを地に設置した蛍光灯の上に浮いているように展示しています。(図例:蛍光灯による透かしの効果で文字が浮かび上がるようなポスター)


展示名は文字の骨格からスタートした描き文字の制作でしたので『字の中』としました。

書体のファミリー見本の図の興味から始まり、グラフィック、そして空間へと繋がっていく面白い文字の研究となりました。

デザインの現場『NO.150』新しいデザインの授業より(写真左)
右写真:Paul Davis
中上写真:平野治朗真鍋大度


そして大学の後輩の子達、またインターンとしてお手伝いをしてもらった多くの方々に多大なる感謝の展示でした。(上記イベントCET2010は10/22~11/07に開催のようです)

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