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2010年12月25日

『本は物である 装丁という仕事』を読んで

装丁家、桂川潤さん著『本は物である 装丁という仕事』を楽しみながら読了しました。



電子書籍化の進む昨今、本がデジタル化する中で失われるかもしれない書物の『物』としての存在意味を改めて考え直すといったようなお話です。現在の本の製造工程の現場をていねいに解説されており、『物』であるからには『物作り』のプロセスを経て出来上がる作業現場を見てみようという流れで話は進んでいきます。『物』とはデジタルに対して「無限の階調と多様性を持つ物の豊かさ」ということ。
本作りにたずさわる人の思いがひしひしと伝わってきました。

本が好きで、関心を持っている多くの方にお勧めです。

2010年12月15日

「不思議の国のアリス」装丁展


“Malle de Alice~10人の挿画家+5人の装丁家による新しい「不思議の国のアリス」装丁展~”へ伺ってきました。

10名の装画家と5名の装丁家による装丁展です。色々な角度からの「不思議の国のアリス」のカタチが提案されておりそれぞれが魅力的です。イラストレーションと本の関係も多種多様でした。
ギャラリートーク12月19日15:00~だそうです。

場所:ギャラリー Malle 
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4-8-3神原ビル1階
(ギャラリートーク12月19日15:00~)
会期:12月14日(火)~12月19日(日)

2010年12月8日

橋本平八と北園克衛展 異色の芸術家兄弟


橋本平八と北園克衛展 異色の芸術家兄弟

世田谷美術館で開催中『橋本平八と北園克衛展 異色の芸術家兄弟』へ。

以下引用:
橋本平八(1897〜1935)は、1922年より日本美術院展にて発表し、独自の思想が表された木彫作品で注目を集めましたが、1935年に38歳の若さで亡くなりました。しかし彼の作品は、日本古来の精神性とも深く結びつき、彫刻に関する様々な問題を、今もなお私たちに投げかけています。
北園克衛(1902〜1978、本名:橋本健吉)は、1920年代より前衛的な詩人として活躍し、1935年に機関紙『VOU』を編集・発行します。さらに1960年代からは、詩作品と並行して、写真による詩<プラスティック・ポエム>を発表し、同時代の海外の詩人たちと活発に交流しました。
本展覧会では、最初期から晩年までの木彫作品約90点に未発表の画稿を多数加えて、橋本平八の作品世界を、ジョン・ソルト氏が所蔵する資料を中心に、書籍や書簡など約700点から北園克衛の多岐にわたる活動を、あわせてご紹介いたします。




兄の彫刻家、橋本平八。そしてVOUの主催である弟の北園克衛。この二人にクローズアップした展覧会です。橋本平八についてはほとんど知らない方でしたが彫刻作品は図録で見るより断然実物が迫力がありました。北園克衛によるプラスティック・ポエムなどの一連の作品は是非再度じっくりとみていたいと思っていたので今回の展覧会ではとても収穫があったように思います。詩の作品から装丁の仕事まで多くの作品を拝見し、北園克衛の多彩な仕事ぶりを感じることができました。また展示の空間や特設でつくられたインスタレーションの空間も北園ワールド。二人の生み出す独自の世界を味わってきました。



会期:2010年10月23日(土)~2010年12月12日(日)
会場:世田谷美術館 1階企画展示室

世界のブックデザイン2009-10



世界のブックデザイン2009-10

「第44回造本装幀コンクール(日本)」
「ドイツの最も美しい本2009」
「オランダの最もすばらしい本2009」
「スイスの最も美しい本2009」
「フランスの最もすばらしい本コンクール2009」
「第57回APAブックデザインアワード(オーストラリア)」
「中国の最も美しい本コンクール2009」
「世界で最も美しい本2010(32カ国)」

の応募図書(総数4079点)から選出された242点の本を手に取りみることができます。これだけの数の本を見ることができるので(根気もいりますが)非常に面白い展示です。

各国の本を比べながら見られるという点でも、それぞれの国の本の形が少しずつ違ってみえるのもおもしろいです。
文字や紙、大きさに重量感、色に匂いや手触り。多種多様な本のもつ性格が色々な表現で現れていてゆっくりと堪能してきました。
今回は改めてドイツの出版社ズーアカンプの古典的なたたずまいもいいなあと思いました。また、「中国の最も美しい本コンクール2009」で選ばれた本によくつかわれている和紙のような柔らかい紙でできた本などにも惹かれました。本好きの方は是非足を運んでみてください。

場所:凸版印刷株式会社 印刷博物館
会期:2010年10月23日(土)~2011年1月23日(日)

ぶらぶら展示まわり

〜気になる展覧会に足を運んできました〜




HB GALLERY
野田あいさんの「タビノカケラ」という展示へ。

大切に持ち帰った「タビノカケラ」のイラストレーション。展示空間の空気が野田さんのふんわりとした空気。
たまたまいらした野田さんとも少しお話をすることができました。絵の印象と変わらないやわらかい雰囲気。
旅の思い出で描かれた絵の話をすこしお聞きすることができました。






THE GIFT BOX 10

以下引用:
ちょっとしたプレゼントを贈るときに、気のきいた小さな箱があればもっと喜んでもらえるのではないでしょうか。
10名のイラストレーターのオリジナルのギフトボックスを展示/販売。独創的かつ実用的な紙の箱を創ります。

ギャラリーにいらしたイラストレーター町山耕太郎さんに展示されていた作品のお話などをお聞きすることができました。町山さんの手がけているお米の話などいろいろと話をしてギャラリーを後にしました。


表参道はもうイルミネーションですね。はやいなあ。

2010年11月21日

本と電子書籍

東洋インキ製造本社へ伺ってきました。
日本図書設計家協会 研究委員会主催『創立25周年記念講演会』新潮社装丁室長、高橋千裕氏による講演です。テーマは『本が本であるために~電子書籍との共存共栄を考える~』出版文化をリードする版元の目線からの貴重な考えをお聞きすることができました。また装丁室の仕事を幾つか紹介され、そのデザインが定着される経緯なども聞く事ができました。


なにより『本は芸術や美術にも似た性質を持つ「知的な思考物」』といった氏による言葉が心に残りました。また紙や印刷(による色気や品格)に触れることによってしか感じることができないものがあると再確認しました。きっとこれからも本の存在を感じながら読むことで人々の心が豊かになることは変わらないのでしょう。

一方、テーマである電子書籍についてですが利点(資源の問題、目の不自由な人のための本、古書のアーカイブ保存、、)を考えると規模は拡大されていくメディアになることは間違いないのでしょうね。電子だからこそできる本というものもきっと現れてくるのでしょう。

紙の本と電子書籍との関係を考えるいいきっかけとなる講演会でした。

2010年11月10日

「服部一成二千十年十一月」


銀座gggにて開催中、「服部一成二千十年十一月」へ。
いままでの仕事もさることながら展示空間全体の空気感もみどころです。スパッと切って見せる、気持ちがいい閃きの空間。

場所:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:2010年11月4日(木) - 11月27日(土)

2010年11月4日

「和田誠の仕事」



和田誠さんの特別展「和田誠の仕事」に。

グラフィックデザイナー、イラストレーター、装丁家、編集者、著述家、映画監督など、幅広く活躍されている和田誠さん。1960年代には3年間にわたって「ピース」の雑誌広告も手がけられています。また「ハイライト」のパッケージデザインをされたことでも有名ですね。



ポスターや絵本の原画展示のほか、それらの仕事の裏側にも迫る内容が用意されてます。現在はmac主体のデザインで当時の版下を見る機会はなかなかありません。そんな普段はあまりお目にかけられないポスターの原画や制作風景の映像を拝見することができます。
映像での制作風景は見ていると、こちらもなにかを作りたくなるような気持ちになりました。



会場:たばこと塩の博物館 特別展示室
会期:2010年9月11日[土]〜11月7日[日]

2010年10月25日

ぶらぶら展示まわり

〜気になる展覧会に足を運んできました〜


都築潤 ニューエイドス/New Eidos
場所:レクトヴァーソギャラリー/RECTO VERSO GALLREY

学生時代の恩師である都築潤先生の個展へ。ベクター曲線によるちょっと哲学的な絵の世界。(RECTO VERSO GALLREYは初でしたが雰囲気のある場所です)
会期:10月18日(月)-10月30日(土)まで






新村則人 海と山と新村則人
場所:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)

「無印良品キャンプ場」のポスター等、“自然”をテーマにした仕事を発表されている新村則人氏の展覧会。デザインの中に“自然”の生態系を感じる事ができる展示です。
会期:10月5日(火)- 10月28日(木)まで






「ポスターを描く」展 
場所:DAZZLE

6名のイラストレーターとデザイナーがタッグを組んで、 一つの作品を仕上げるというコンセプトの展示。イラストレーションとB1ポスターのデザインを見比べる面白さがあります。ポスターになることで原画とはまた一味異なる雰囲気になることを拝見できる展覧会でした。
会期:10月19日(火)-24(日)12:00~19:00(最終日17:00まで)※月曜閉廊






2-305!! ムサビ助手展
場所:武蔵野美術大学 2号館305教室
以下引用:
武蔵野美術大学助手40名が、展示空間における作者・作品・鑑賞者の関係性の再構築を試みます。武蔵野美術大学2号館305教室にて、16週間 にわたって代わる代わる展示を行うなかで、意識的に展示行為のセオリーを逸脱し、美術・デザインの諸領域を横断します。
開催日程:9月06日(月)-12月18日(土)
10:00-17:00 *水曜休廊 *10月17日(日)、11月21日(日)は休廊

2010年10月16日

ヘンリー・ムア 生命のかたち


『ヘンリー・ムア 生命のかたち』ブリジストン美術館に。
「横たわる人体」「母と子」など横たわる女性が有名ですが謎に満ちた人類の偉大な遺跡である「ストーンヘンジ」の版画19点も見応えのあるものでした。
個人的な話になりますが、僕の祖父は形而上詩を書いていた人でした。その祖父がヘンリー・ムーアを好んでいたようで、形而上的なものとどこか関係があるのかなと、、ぼんやりと鑑賞してきました。

会期は〜明日17日迄

2010年10月14日

「手塚治虫を装丁する」展


竹尾 見本帖本店にて開催中のBook Scape(本の風景)30 カヴァーノチカラ4 「手塚治虫を装丁する」展に伺ってきました。
漫画家「手塚治虫」の作品の中から10作品を選び、そのビジュアルを使用して1作品ごとにそれぞれ9名の協会会員がオリジナルブックカヴァーをデザインされているといった展示です。
テーマごとにそれぞれに異なる10種類のファインペーパーを用いられているのでファインペーパーの風合に触れることもできます。(この展覧会のために作られたオリジナルの図録が展示されており手に取って印刷された装丁カヴァーを実際に触れて拝見することができました。図録デザインは、小川航司さんによるものです。)

場所:「手塚治虫を装丁する」展
    竹尾 見本帳本店2F
会期:11月19日(金)迄です。

2010年10月12日

三原色とオブジェ



渋谷にある東塔堂に。羽原肅郎氏の個展「三原色とオブジェ」に伺ってきました。静謐で美しい三原色の作品群です。

以下引用:
純度の高い色彩が、並べられたり、交わったりしながら、新たな色をつくり、また新たに独立してゆくような、リズミカルなグラフィック。また、マックス・ビルやジョセフ・コーネル、マルセル・デュシャンといった美術家たちへの、尽きない思慕の念を素材につめこんだ、ユニークなオブジェ。いずれの作品も、古くからの知己にそっと耳打ちされるかのような、近しさや、幸福さに、満ちあふれています。この機会にぜひご覧ください。

会期:2010年10月11日[月]→ 11月6日[土]時間:12:00 - 20:00 [日曜休み]

2010年10月6日

文字の研究‥其の三

NEUT.002で制作をしたその後に描いてた、個人的なつくり文字のことです。

書体にはよくファミリーで見本として掲載されているものがあります。(文字の骨格を基にグラデーションのように太らせていくような見本)ファミリー構成している見本なのですが、なにか絵としてひっかかりがありました。(図例:ユニバースの見本ですが見ていると『U』の図形の中へ『u』が入っていくように見えました)



多くの書体には骨格があり、その骨格をベースにファミリーとされています。書体の中にはそれぞれ鉛筆の芯のように骨格が埋まっていると考えると、なんだかいいなあと思いました。ある形のなかにもう一つの形がある、そんな興味から文字の構成エレメントをスケッチしてみることに。基本的なパーツとしては円弧や直線。その中に骨格となる芯が埋まっているようなイメージで文字作りのスタディーを始めていきます。(図例:『S』型のバナナのような図形をめくると細い『s』型のような図形が埋まっているイメージ)


文字の中から芯のようなものが見え隠れするように構成されたエレメント。それをベースに文字を起こしていきました。『文字の内側』が漠然とした起点です。恐竜が化石となって地層からでてくるように、エレメントパーツ自体に骨格の芯が見えるような文字。そして文字がグラフィックデザインとしてもみられる描き文字。そんなことを考えながら制作していきました。



この文字を作っていた頃、ASYL主催の佐藤さんが企画されていた馬喰町にてTDB-CE(現CET)という、街をデザインするという企画をしていた頃でした。(馬喰町の問屋街にある複数の空きビルのスペースをギャラリーとして再利用し、街を活性化するという試みのイベントです)その流れで空きビルの空間を使い、制作していた描き文字グラフィックを発表してみようということに。

空きビル。それを今度はグラフィックと空間での展示。それにコンセプトは内側に芯(骨格)のある描き文字です。
まず、空間のイメージですが『文字の内側』を発起点として形作っていったものでしたので海底や地層といったようなイメージにしました。蛍光灯を地面に設置し、『内側に入ったような空間』を演出しています。そして天井と床の色を分け地層の間のような展示空間にしました。


展示する文字のヴィジュアルは文字の中の骨格からスタートしたということでポスターに白い中心線の入ったものに。それを地に設置した蛍光灯の上に浮いているように展示しています。(図例:蛍光灯による透かしの効果で文字が浮かび上がるようなポスター)


展示名は文字の骨格からスタートした描き文字の制作でしたので『字の中』としました。

書体のファミリー見本の図の興味から始まり、グラフィック、そして空間へと繋がっていく面白い文字の研究となりました。

デザインの現場『NO.150』新しいデザインの授業より(写真左)
右写真:Paul Davis
中上写真:平野治朗真鍋大度


そして大学の後輩の子達、またインターンとしてお手伝いをしてもらった多くの方々に多大なる感謝の展示でした。(上記イベントCET2010は10/22~11/07に開催のようです)

2010年8月16日

kate paper

久しぶりに下北沢に出かけ、のんびりぶらぶらしてきました。
35度以上もありそうな猛暑。katecoffeeというカフェにて冷えたアイスコーヒーを飲みにいきました。
ここにはkate paperというフリーペーパーを配布されています。無料で配布されている小冊子ですが内容やボリューム共に充実した内容です。素敵なデザインなので手に取ってしまいました。


B5の大きさで、本文65ページ、中綴の小冊子です。
4号(現在配布中)では鈴木成一さん、柏井万作さんのロングインタビューなど誌面も読み応えがあります。
カフェ内はとても落ち着いた空間です。お近くに行かれた方は是非どうぞ。


「kate paper」vol.4(2010年summer)
デザイン:Coa Graphics

2010年8月8日

シャガール・ロシアアバンギャルドとの出会い

「シャガール・ロシアアバンギャルドとの出会い」展が上野の東京芸大美術館で開催されています。フランスで活躍した巨匠マルク・シャガール(1887〜1985)の作品を故郷ロシアの同時代の絵画と対比をしながら作品をみることができます。


「日曜日」
明るい色彩が、亡命先のアメリカのから第二の故郷パリに戻ったシャガールの弾む心を伝えるようです。



個人的にはカジミール・マレーヴィッチに基づく「アルファ」「ゴタ」「ゼタ」等による、石膏のアサンブラージュの作品に興味がわきました。

色鮮やかな作品の数々、ぜひ本ものにふれてみてください。

2010年8月6日

するところ新聞


「するところ新聞VOL.2」が送られてきました。「するところ」とは港区芝浦に本社を置く株式会社広告製版社様が地域共生型プロジェクトとしてスタートさせた活動だそうです。

『子供達にアートに触れる機会を持ってほしいということ,地域の方に交流のスペースとして利用してもらいたいということ,学生やクリエイターに印刷の可能性を再発見してほしい』等、多種多様なテーマで活動をされている場所のようです。
僕も以前「するところ」では「印刷機を見よう」というワークショップへ参加し、普段見ることができない印刷の仕組みを見ることができました。改めて印刷の再発見ができたような気がします。
また、子供達の気持ちに積極的に応えようとしている場所なのでとてもオープンで前向きな空気が流れてる場所でもありました。

さて、今回頂きました、『するところ新聞VOL.2』ですが活き活きとした子供達の写真がとても印象的です。デザインも伸び伸びとしており見ているだけで楽しくなりました。

これからも様々なワークショップを行われていくそうです。物造りをされている方、お子様と一緒になにかをしたい方、アートに興味のある方、、きっと多くのことを学べるような場所です。興味のある方は是非。

2010年7月30日

「見えないタイトル」装丁展

オーパ・ギャラリーにて開催中「見えないタイトル」装丁展へ伺ってきました。


装丁家の折原カズヒロさん、白畠かおりさん、タケナカ・ユウキさんの3人のグループ展です。

以下引用:
表紙にあるはずのタイトルと著者名が見えなかったら?
装丁だけで本を選んだら、思いがけない1冊に出合えるかもしれません。
3人のブックデザイナーが夏をテーマに、お薦めの文庫の装丁をしてみました。


タイトルや著書名のない装丁。見えるのは小説の解説のテキストとビジュアルのイメージ。そんなデザインの装丁の数々。ですので『どんな本なのだろうか?』ということを想像しながら拝見しました。CDのジャケ買いをするなんてことがありますが、本をジャケットのビジュアルで買うなんてことをこの展示を見てて感じました。
その後ギャラリーにいらした装丁家の折原さんに色々と装丁のお話等を伺えることができました。また、その場に居合わせたイラストレーター村上朋子さんの作品を拝見させていただきました。
その後、展示オリジナルのしおりを頂きギャラリーを後にしました。

夏をテーマにした涼しげな装丁作品を見ることができます。
7月30日(金)〜8月4日(水)オーパ・ギャラリーにて。

2010年7月18日

医療関係のサインと挿絵の仕事

すっかり梅雨も明け猛暑です。


先日、医療関係のサインの仕事を手伝わせてもらいました。小さな移動医療施設のサインです。(僕が幼少の頃には移動図書館なんてものがありましたがまさにそういった検診のようです)地方でお年寄りのために移動しながら検査をしている小さな医療検診のサイン。お年寄りのおじいちゃんおばあちゃんが見ても分かるものを前提に制作しました。内容は1~15程の行程での検診を指示するといったものです。

小さな医療検診といえどもお年寄りにとっては疲れるものだと思います。ですので、なるべくほっとするような雰囲気を心がけ作りました。



幼少の頃、僕には耳の遠い祖母がいました。その祖母と話をする時はホワイトボードで絵を描きながら会話をしていたんです。そんなことを思い出しながらさらさらとイラストを描いてみました。挿絵を見ながらゆっくりと経路を辿ってもらえればなによりです。

2010年7月10日

『するところ』印刷機の見学へ

墨田区にある『するところ』



「印刷機を見よう」というワークショップに参加してきました。印刷に関わる仕事ですが、(デジタル入稿の主流な現在ですので)印刷機の動作している所を見る事が少ないというのもあり勉強のつもりでおじゃましてきました。
主催の方の説明を受けながらどのように印刷物が刷られていくのかを拝見することができました。また、1時間で15000枚もの印刷をするといったことや、紙がものすごいスピードで印刷機の中に吸引されていく様子など見れる貴重な見学会でした。きっとデザイン関係の人達だと思われますが20名くらいの方々来られ印刷機について見学をしていました。
この他にも様々なワークショップを行っているようで色々な物作りについて学ぶことのできる場所のようです。


その後、神田の旧練成中学校を改修した3331 Arts Chiyodaのほうへ。廃校となった校舎をリノベーションで新たな価値を生み出し始めていました。以前にIID世田谷ものづくり学校へ訪れたことがありますがそういった雰囲気ですね。デザインスタジオもいくつか入っているそうです。
グランドオープン記念展『3331 Presents Tokyo : Part1』を見て学校内を見学してきました。FAXから浮き上がるグラフィックから壁面のタイポグラフィー、実験的な作品群の数々。それに様々なトークショーなどが行われるようです。



他にもこれから多くのイベントが開催されるようで期待できる場所になりそうです。

2010年7月6日

グループ展


HBギャラリーへ。

特別賞6人によるグループ展。受賞者は以下の方でした。

日下潤一特別賞 / 篠本映
鈴木成一特別賞 / 中村眞弥子
副田高行特別賞 / 立花満
仲條正義特別賞 / 若林夏
藤枝リュウジ特別賞 / 中島良二
永井裕明特別賞 / 大久保厚子

6名の作家さん、どの方も今のエネルギーに溢れていました。

展示は明日7日(水)迄です。

2010年6月28日

文字の研究‥其の二


大学時代に友人と二人でフォントを共同制作をしたその後、今度は一人で漢字を描き起こしてみたいという気持ちに至りました。

それまではフォント(書体)をつくるという方向で漢字を作っていました。作った描き文字は最終的に並べるわけですね。漢字が並んだビジュアル、つまり『密集した漢字の強さ』ということがどうしても頭に残ってしまったのが事の発端でした。そういった経緯から太古に創造された象形文字や金文を調べると密集した漢字の図像がでてきます。そのエネルギーというのは当時の僕にとって非常に魅力的なものでした。なにかそういうエネルギーを残しながらグラフィック的にも生かすことができないだろうか、などと書体を作るということから脇道にそれたような発作的な気持ちが僕のどこかにありました。

その後、ASYL のアートディレクターである佐藤直樹さんにそういった描き文字を見せながら色々と話を聞くという日々。この制作をスタートさせたのが大学4年時でしたので大学院の研究というようなものですね。そして担当の教授がアジールの佐藤さんに入れ替わったというような形でした。文字を描くことのアドバイスや感覚的なものなどの話をよくしてもらっていました。

ASYLでは当時『NEUT.』というオルタナティブなデザイン誌を企画しており、そこで自分なりの回答としての場を作って頂けるという話になりました。多彩なジャンルの方々が実験的にビジュアルを発表されている場でしたので、できるだけ自分の考えを純粋にビジュアルとして成立させるよう努めました。




一つ目の画面:いかに抽象的な造形のみで画面を成立させるかということ。文字を構成している要素は抽象的な図形。それらを組み合わせていくと文字になるのですが、その原型のみ(プロトタイプといったイメージでしょうか)ただそれだけの魅力のような画面です。そんな図形のみでの画面。



二つ目の画面:抽象的な図形から文字にメタモルフォーゼするような画面です。図形が抽象であるなら文字は具象。図形から文字に変わっていく「おかしさ」みたいなものを構成するといったビジュアル。



三つ目の画面:象形文字や金文などのイメージを残したビジュアルです。漢字の絵としての魅力を思い切り全面にだした、象形文字のような読めるけど読めなそうな雰囲気のある画面に。


大学時代からの文字制作でしたがこうした経緯で佐藤さんにお世話になりながら一つの事につきつめて研究することができました。上記のビジュアルはグラフィック誌『NEUT.002』に掲載されています。お手にされる機会がありましたらご覧ください。(その後についてはこちら。)

2010年6月24日

皆様のBARレピドール「美しさ」展


代々木上原、皆様のBARレピドールにて展示されている亀井佑二「美しさ」展に。学生時代から個展を数々と見ている。変わっているようで変わらない絵。



6/19〜7/17迄。

2010年6月20日

ぶらぶら

今日は国分寺をぶらぶら。

こんなところにこんなお店があったのか、、というお店が。kinafuという昔の器と生活雑貨の置いてある雰囲気のあるお店。中を覗くと店主さんらしき方がいらしたので入ってみることに。

ゆったりとした空気の流れる空間。大切に使われてきたような生活雑貨、手作りの皮小物やバッグなどを扱っているようです。

ぐるりと店内を観て、お店の方とも少し話すことができました。週末にささやかにお店を開いて活動していることをお聞きできました。



ちいさくて素敵な場所です。
国分寺を訪れた際には是非どうぞ。

(6/23~27の間、西荻窪FALLにて出張展示もするようです。)

2010年6月18日

「原字ものがたり―デジタルフォントの原型」展




人形町人形町Vision'sにて開催中の「原字ものがたり―デジタルフォントの原型」展に足を運んできました。阿佐ヶ谷美術学校のタイポグラフィの授業から発した貴重な原字を展示するという企画だそうです。


活字を開発する際の手書きの美しい原字。書体が生まれてくる段階の手書きの文字を観覧できる貴重な展覧会でした。各分野で様々に使われている多種多様の原字を見る事ができます。普遍的な明朝体の原字から台湾で作られたラフな魅力の原字も。
メインとなる明朝体は面相筆で書体の細部の仕事も見れるのですが、ものすごい緊張感。。気の遠くなるような繊細な仕事で見ているこちらも息を止めるように拝見しました。オーソドックスで残り続けるモノの生まれる迫力を感じました。 展示は19(土)迄。

その後、馬喰町方面を散策。以前、展示をこの辺りでやったことがあるのでぶらぶらしてみました。ムサビの運営するgallery αMFOIL galleryのビルに。だいぶこの辺りも様変わりしてきているなあと思いながら問屋街を歩いてきました。



そうこうしているうちにドシャブリの雨。そのまま帰ることに。今週は梅雨入りで雨の日が続くようです。蒸し暑くなりそうだ。

2010年6月17日

文字の研究‥其の一



以前の記事にも書きましたが学生の頃に友人と二人でフォントを制作していた時期がありました。はじまりは僕が美大のデザイン科に通っていた夏のことです。同学科のデザイナーの先輩に誘われたことからでした。

FONT1000という企画。グラフィックデザイナーであり美術家としても活躍されている味岡伸太郎さんが中心となり活動しているグループです。錚々たる書体デザイナーやロゴタイプデザイナー、文字に関わる重鎮の方々。学生の身でしたので、おののいたものです。

デザイン学科の先生がFONT1000に参加されている方でしたので、タイポグラフィーに興味のある学生である友人と僕に声をかけていただきました。書体制作については右も左も分からない学生でしたので当時の学校の課題から比べると本当に大変でした。きっと一人ではできない仕事だったと思います。友人宅や共に制作をされていたデザイナーの先輩の事務所にて合宿をしながらの日々でした。なかなか体験できない共同制作することができたことがなにより貴重な経験になったと思います。




さて、この制作した文字の書体名は『ブロックライン』としました。名前のとうり、文字を組んだ時に岩がコロリコロリと並んでいるように見えるからです。書店などでも時々見かけるようになり嬉しい限りです。今みると学生時代の辿々しさや健やかな表情が出ている気もします。




お役に立てそうな機会があったら是非この文字を使ってみてください。

また、その後『漢字』を用いて個人的につくりもじを作っていきますがそれはこちらから